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2017年1月1日 小尾隆の日誌 本館
ロンサム・ストリングス『Soundtrack』を聞いて
ロンサム・ストリングスの最新作『Soundtrack』を聞きました。前作のアンソロジー2枚組はウッド・ベースを映し出したジャケットが物語るように、急逝した松永孝義さんを追悼すべく企画されたものでしたが、その後セッション・マンとして多方面で活躍される千ヶ崎学さんが正式メンバーとなりました。そんな新たなロンサムによる初めてのスタジオ・レコーディングが本作です。アルバム表題として掲げられたように、今回はサウンドトラック集からボブ・ディランの『ビリー・ザ・キッド』ピンク・フロイドやグレイトフル・デッドが参加した『砂丘』ちょっとマニアックなところではジョン・サイモンの『ラスト・サマー』などに収録されたナンバーを、ストリング・カルテットならではのアレンジで再提示していきます。その音粒たちによるイメージの自由な飛躍を隅々まで堪能出来ます。深いリヴァーブを湛えた桜井芳樹さんのエレクトリック・ギター、音響派とも渡り合う田村玄一さんのペダル・スティール・ギター、ブルーグラス特有の臭みから抜け出した原さとしさんのバンジョー、そして千ヶ崎学さんの古代の洞窟を探訪していくような思慮深いウッド・ベースが重なっていきます。たった四人によるインストゥルメンタルの演奏ですが、余白を残したサウンドスケープの幽玄的な響きに心奪われるのでした。斯界でもトップ・レベルの技術を持ち、後進たちから慕われている四人が、持てるテクと想像力を駆使したこの『Soundtruck』には、音楽する心が満ち溢れています。そう、まるで架空の大河ドラマを観ているような錯覚に陥りますし、8ミリ・フィルムの映写機で上映されるモノクロ映画のような秘めやかさも持ち合わせています。引用されたマテリアルの数々を再現するのではなく、ロンサム・ストリングスならではの解釈で大胆かつ繊細に提示する。そこにワビやサビといった日本人の感性を感じてしまうのは私だけでしょうか?
 
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小尾隆
(オビ タカシ)
音楽著述業/1958年東京都生まれ。1990年から自分の歩調で執筆活動を続けている。代表著作に『Songs-70年代アメリカン・ロックの風景』 (1997年)があり、増補改訂された同書の2007年版が日本図書館協会の推薦図書に指定に。
趣味は大衆文学とウォーキング。ギタリストではデイヴ・メイソンやヘンリー・マカロックなど、”遅弾き”の人がとくに好きです(笑)。
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