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2016年6月22日 コラム
[コラム] ロックの未来、人類の未来
色々意見があろう所をあえて、突っ込むけれど。2016年のフジロックに政治を持ち込むな、みたいな意見があったという先日のニッカンスポーツの記事(http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1666182.html)。シールズの奥田氏やジャーナリストの津田大介氏が出演することに噛み付いた人がいるとか。こうした記事すら眉唾で読んではいるけれど、久々にあきれてしまった。善意の共同体ではもはや無くなっているフェイスブックのコメント欄などは、余りに極端すぎるので馬鹿馬鹿しく、見ないようにしているけど(万物斉同だと思っているので…)、今回ばかりはと覗いてみると、政治的な音楽なんか聴きたくない、みたいな、ナイーブさを装いつつの典型的な左翼アレルギーみたいな感じで。
 
いやしかし、ですよ。モノを作って世に問う人間が命がけで社会に何かを問いかけようとすることが、既にある種の政治性を帯びているということに何らかの自覚はないのだろうか。表現の仕方は直截・隠喩色々だろうけれど。例えばマドンナやレディー・ガガ、あるいはタモリという存在そのものにだって政治性はある。ましてや今回焦点になっているのはロック・ミュージックですからね。「カウンター・カルチャーとは?」とか「ウッドストックに至るロックの歴史」なんぞをわざわざ説明しなきゃいけない時代になってきたと言うことなのか?「No Nukes」というイベントがありまして…とか。そんなことすら直感的にわからないくらい、感性が鈍ってしまったのか…
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まあ色々絶望的な時代の気分を象徴していると思う。そう、先日思想家の内田樹さんが新聞に書いていたけれど、高度成長期までは互いを成長させるために好まれた「議論」というものは近年、相手に深い知識を与えることになるため、好まれなくなったと。自由競争・自助努力・自己責任を重視する昨今の新自由主義を勝ち抜き、利益を得るためには、相手と議論をすることは損になる、ということなのだろう。先細りになる有限資源を奪い合い、少しでも多く分け前をもらうために、込み入った議論は避ける…なんだか人類の物語は、ずいぶんと悲しい結末に達しようとしているようだ。まあそれでもぼくは、無駄な議論を重ねながら、レコードを聴き、こんなブログを書いている。
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いしうらまさゆき
武蔵野発のシンガー・ソングライター、音楽雑文家。1979.10.5 東京生。2005年から1万枚を超えるライブラリーから選び出したレコード&CDレビューを中心としたブログを運営し、レコードコレクターとしてピエール瀧氏の番組 『コミック牙』内のコーナー『DJ TASAKAのレコード供養』などに出演。Records Are Like Lifeを実感するべく、せっせとレコード屋に通う毎日。
 
2011年にエレック・レコードのスタッフを迎えた’70年代フォークのオマージュ盤『蒼い蜜柑』(元ピピ&コット金谷あつしProd)でデビュー。2014年にはラッパーEARVINとの異色共演を含むフォーク・アルバム『語りえぬものについては咆哮しなければならない』(馬下義伸プロデュース)をリリースし、文学的な歌詞の世界と’60〜’70年代を想起させるウェルメイドな楽曲群が数々の音楽誌で高い評価を得た。2015年9月にはバンドスタイルによる4枚目『作りかけのうた』(MASH RECORDS [ウルトラ・ヴァイヴ])をリリース!
 
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