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2016年9月11日 コラム
[コラム] 熊本のレコード屋
最近おやぢバンドに加入して歌ったりしている。これが何とも面白い。自分一人では絶対に演らないだろうヴァン・ヘイレンとかも演ってみたり。先日お会いした、とあるプロのドラマーの方(テレサ・テンのバックバンドを長くやられていたという)も「音楽はアマチュアに限るよ〜」と仰っていたけれど、コレも一つの真理かもしれない。しかし、昔取った何とやらではないけれど、おやぢバンド、50代のロック少年の演奏の上手いこと上手いこと…学生時代はレコード聴き聴き、耳で憶えてコピーしていた、なんていう感じみたいだから、フレーズが体に染みついているのかな。最近の10代バンドのステージとか見ると、複雑なギターソロを弾けるギタリストが少なくなってきたようにも思える(というか、ジャズから発展したロックには、ある程度即興で演じられる「ソロ回し」という文化があったけれど、それも徐々に消え失せているということなのだろう)けれど、往年のロック・ミュージシャンはソロでギンギン弾きまくるんですよね〜
 
で、時折スタジオ入ったりもするんですが、昔に比べて予約が取りやすい。バンドが減ってるんでしょうか。そして、アコギのピックは廃番になったヤマハのデッドストックを一生分(笑)買ってあるからいいとして、エレキのピックを買いだめしようと某楽器屋へ。10年前によく通っていたその店にはオリジナル・ピックがあって、激安50円だけど磨り減りにくく、重宝していたことを思い出したから。で、店員さんに聞いてみてビックリですよ。「もう作ってないんです…今楽器屋は不況で、オリジナル・ピックも自前で作れなくなっちゃったんです…在庫抱えるとタイヘンだし…」なーんて。時代は変わる。確かにイマドキの中高生はバンドよりダンス、みたいな身体感覚の変容もあるしね…ちょっと寂しいけれど。
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さて、そんなおやぢバンドのメンバーの方に昔のレコードあげるよ〜なんて私が好きそうな奴を選んでいただいて、どっさり頂戴してしまった。その方は熊本出身の方で、かつて英語関係の仕事でクリエイションの竹田和夫さんと同じ職場だったこともあるんだとか。クラプトンが乗り移ったようなギターを弾く。で、レコードはキッス、ディープ・パープル、ジョー・コッカー、デイヴ・メイスン、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェスト、マホガニー・ラッシュ、エンジェル、T.レックスなどなど…もうロック黄金時代ってな感じで最高ですよね。1977年のレコードにハズレはない!なんて話もしていて。私みたいなアメリカン・ロックやSSW好きに取ってみると、1977年はキーボード主体の音楽が出てくる過渡期で駄作が多い印象があるんだけれど、全く違う価値観もあるんだなぁと。
 
レコード外袋には「マツモトレコード」「WOODSTOCK」とあって。聞いてみると、熊本で一番オールジャンルで在庫が多かったのは「マツモトレコード」で、マニアックなロックのLPは「WOODSTOCK」で買ったとのこと。頂いたマイク&サリー・オールドフィールドとかは「WOODSTOCK」で予約して買ったんだとか。
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気になって調べてみると、両方ともスゴイ店だったみたい。でも「九州一の豊富な在庫」を謳っていた「マツモトレコード」は残念ながら2006年に閉店していた。往時は年間60〜70のアーティストがインストア・ライブ&手売りをやり(「ユーミンとサザン、矢沢永吉以外はほとんど来た」とのこと)、閉店時の2代目店長は「日本一CDを売った」と豪語してもいた。まさにこれも時代だなあ、と。1977年創業の「WOODSTOCK」の方は移転して今もあるとのこと。地震の被害もまだ残る熊本だけれど、一度行ってみたいと思う。それにしても九州の音楽シーンというとめんたいロックや照和の福岡、そして鹿児島に注目が集まるけれど、熊本にもこうして文化を作りあげた店や人があった。阿蘇のカントリー・ゴールドっていうチャーリー永谷さんが続けているカントリーの祭典もある(毎年アメリカン・カントリーの一流どころが出ている)。そう言えば、とライターの松永良平さん(熊本のご出身)のインタビュー集『20世紀グレーテスト・ヒッツ』に熊本のDJかなぶんやさんのインタビューがあったのを思い出し、読み返してみた。そう、おやぢバンドの方も言っていました、「熊本にはベストヒットUSAみたいな番組があったよ〜」って。何しろかなぶんやさんの洋楽ビデオ番組「サタデー・ミュージック・スペシャル」の放映はベストヒットUSAよりも先んじていたのだった。こういった番組に支えられて、数多の洋楽ファンや音楽評論家、ギター小僧にバンドマンが育っていった、という事実にじーんと胸が熱くなった。
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いしうらまさゆき
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いしうらまさゆき
武蔵野発のシンガー・ソングライター、音楽雑文家。1979.10.5 東京生。2005年から1万枚を超えるライブラリーから選び出したレコード&CDレビューを中心としたブログを運営し、レコードコレクターとしてピエール瀧氏の番組 『コミック牙』内のコーナー『DJ TASAKAのレコード供養』などに出演。Records Are Like Lifeを実感するべく、せっせとレコード屋に通う毎日。
 
2011年にエレック・レコードのスタッフを迎えた’70年代フォークのオマージュ盤『蒼い蜜柑』(元ピピ&コット金谷あつしProd)でデビュー。2014年にはラッパーEARVINとの異色共演を含むフォーク・アルバム『語りえぬものについては咆哮しなければならない』(馬下義伸プロデュース)をリリースし、文学的な歌詞の世界と’60〜’70年代を想起させるウェルメイドな楽曲群が数々の音楽誌で高い評価を得た。2015年9月にはバンドスタイルによる4枚目『作りかけのうた』(MASH RECORDS [ウルトラ・ヴァイヴ])をリリース!
 
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